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3月への旅路





うつ病でひきこもる生活が1年ほど続き少し回復してきた頃の話。






出かけようにも出かける先もなく、人混みの中にいると己の未熟さに嫌悪し、どうにもこうにも足を一歩踏み出すことができずにいた。
横になりながら漫画やアニメ、少しのネットを楽しむことはなんとかやることができた。そこで目に入ったのが羽海野チカという漫画家の画展だった。


羽海野先生の作品と一番最初に出会ったのはハチミツとクローバーの中盤に差し掛かったくらいのことだ。私は彼女の描く人や世界観がとても好きだった。スネオヘアーを知ったのも羽海野先生がきっかけだった。


「画展に行ってみようかな」



ようやくその一歩を踏み出すことができた。画展は満員御礼で全て観るのは大変なことで、若干の目眩はあったものの羽海野チカの描く世界はとても居心地が良かった。



3月のライオンもすでに始まっていて、あの下町の感覚がたまらなく好きだった。私の次の旅先はすでに決まっていた。3月のライオンの舞台、月島。

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特に可もなく不可もなし。月島駅は閑散としていた。まぁ平日だし、お昼だし、サラリーマンもいないしね。
隅田川沿いをなんとなく歩いた。川の下流らしいドブ臭さがなんともいえない思いにさせた。羽海野先生はここをどんな気持ちで歩いたのだろう。

ジョギングをするおじさんや絵を描く青年、アコーディオンを弾くお姉さん。


お姉さんに「一曲お願いできませんか?」と声をかけようとしてやめた。




川沿いを歩けば羽海野先生の世界が広がっていた。


空も川も濁った色をしていた。



私の心は少し彩りを取り戻した気がした。



3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)

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