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ほろほろほどけゆく〜うつの心象風景〜

思考


何で苦しんでいたのかわからなくなった。何がつらかったのかなぜか忘れてしまった。今はただつらさだけが私の心に積み重なっていく。

がむしゃらに働いていれば良かった時間はいつのまにか終わっていたようで 成果やノルマが私の前に立ち塞がっている。消化しようとして動いてみても身体は鉛をぶら下げているようで 思考も靄がかかったかのように鈍く 発せられる言葉とは反比例するように私という存在は錆びついていく。

ただ普通に頑張りたいと思っていただけの私にもう一人の私が「普通って何?」と問いかけてくる。そんなとき私の手はだいたい止まってしまっている。ようやく出会えた幸せがサラサラと砂のように溢れ落ちていく未来が見えたような気がした なんとか掴みとった砂粒も涙の波に流されていった 幸せはここではないと誰かに言われた気がした 幸せは私には相応しくないのよとそっと囁く貴方の顔をひっかきまわしたら傷だらけの自分の顔が目の前にあった。


どう足掻いても浮上できる気がしなかった。頑張らないを覚えればもっと楽に生きていけるのに 頑張らないことが悪いことであるかのように世の中が私を責めてくる気がした だいたい気がするだけなのだけれど 遊んでいても 寝ていても 錆びついた思考が私を絡め取っていてずっとずっとそこから抜け出せないような気がして だいたい気がするだけなのだけれど


もっと気楽になりなよと言われると心のネジがひとつ吹っ飛んでいった カラン コロン と音を立てて水溜まりへ ぼちゃんと沈んでいった。大事なネジだったと思うのだけどネジを探すだけの余力がもう私には残ってはいなかった。 しかし余力がないことに気がついていない私は地べたを這いずり回ってネジを探した 大事な心の一部だった あれがなきゃ私の心はボロボロと崩れ落ちていく 私の心ってなんだ?こんなポンコツのすぐ錆びついてしまうようなこんな心が大切なのか?なんでネジを探しているのかその理由もどこかへ吹っ飛んでいた ただ私は眠りたくてずっとずっと寝てしまいたくてこの心の落としどころをどうするべきかずっとずっと崩れ落ちて形が無くなるそのときまでギシギシとミシミシと音を立てながら見つかる筈のない地べたを這う。


錆びがないときは上手く動いていたはずで 靄さえなくなれば幸せの色も容易く見えるのにどうしたって私の心はホロホロと砕け散っていきそうでその弱さにただ涙し その美しさに見とれた誰かがそっと手を差し伸べてくれるのだろう


一筋の光が靄をかき分けて煌々ときらめいていく 涙の水溜まりに反射して虹を描いていた










おわり