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「 今 」

今週のお題「一番古い記憶」


記憶なんていずれ消えてしまうものなのよ。たくさんの友達と過ごしたあの時も、大切な人を失くし悲しみにくれるその時も、大好きな彼と笑ったこの時もすべて忘れてしまえば無かったことと同じように扱われてしまう。私が死んだら私の記憶も遺さぬ限り失ってしまう。だから私は記憶を愛おしく感じることがある。


すべてがいつか消えてしまうのならば、そのいつかまですべてを愛することはできるだろうか。そのすべてを尊く思う誰かがいたのなら、すべてが消えてもいつか誰かの記憶に残り続けるだろう。そんなふうに記憶が続いていくのだとしたら、私は「今」が一番古い記憶としてのこってくれたら良いなと思う。


今というのは見方を変えれば未来でもある。今の連続が未来だ。私はそんな「今」がずっと続いてくれたらと思う。生きていて良かったと思っていられる今が。


たいそうな生き方をしてきたわけではないんだ。語れるほど時間を得たわけでもないのよ。そんな私が思い出す一番古い記憶なんてほんの些細なもので、本当に私が忘れてしまえば世界から消えてしまうようなものばかりだけど、それでも忘れたくないなと少しでも思える過去を記憶しておきたいと思うのである。そうやって今を続けてきた、その先が未来で、未来の先が未来を慈しむ過去なら、私は今をずっとずっと大切にしていきたいと思うんだ。



つらいことうれしいことすべてひっくるめて「今」の私がいるのだと思うので、私が覚えていられる最後の最後の最後まで今という一番昔の記憶をずっと忘れずにいたいなと思ってる。そうして未来になったとしても、過去の「今」も、現在の「今」も、未来の「今」もずっと大切にしていたいんだ。